ビバリーヒルズの用心棒

守るものがよく分かっていない

アラサー男性は結婚式座席表の夢を見るか

「結婚式参加してくれますかね?」

一通のメールが、昨夜携帯を震わせた。2kbの揺らぎ。

後輩からだった。他の友人の招待状と同時期だったため返信したつもりになっていた。悪い悪い...そういえば彼の余興を担当することになっている。案を(早く)だそう。

  

今夜は職場の同期二人と、近況報告をかねて回転寿司に向かった。お互い幸せな報告が聞けそうだったので、一皿108円ばかりではなく324円のものも豊富に流れているお店。それだけでも、ちょっと贅沢な気分。ぐるぐる回る丸いお皿から、美味しそうなネタを選り好みする。これが僕たち、地方のアラサー男子の生態。

 

結果からいうと、お互いの報告は生ぬるい温度で進んだ。こんな歳にもなると、自分としては「よっしゃぁぁあああ。楽しぃぃぃいいいいい。ハッピーだぜぇぇぇええええ!!」と思っていても、その気持ちを100%表すことはできない。ダサいな。「何浮かれてるんだよ」「こんな歳にもなって、こいつアホやろ」と思われるのではないかと頭をよぎり、慎重に言葉を選んでしまう。それもダサいな。微妙な沈黙を交えつつ、お互いを軟らかい言葉でたたえ合いながら、丸い皿を重ねていく。大トロサーモン、フレッシュサーモン、たまご、エビアボガド、炙りサーモン、トロサーモン。サーモンばかり。

 

この頃は、結婚式での余興を依頼されることも増えた。そんな話から、自分が結婚式を開くならどんな風にしようか、テーブルにどんな風に座ってもらうか、そもそも誰を呼ぶか、誰と誰を隣にするといいとか、いやこの人呼ぶのどうしようかなあとか、みな、彼女もいないというのに。なぜか早すでに人を選り好みしている。

 

人である以上、選り好みはあるかもしれない。回転寿司のネタを選ぶように、柔らかさや硬さといった基準で吟味し、理想の形を作ろうとしている。だが果たして、人間関係における理想を口にすればするほど、現実にぶちあたったとき、もがくのは自分なんだろーなと思いながら、チョコケーキでフィニッシュした。